続・コンテのお仕事って何?

前回はコンテ制作がどうして需要があるのか?
という記事を書きました。

今回は

・どのぐらい制作費がかかるのか?
・どのぐらいのクオリティで制作するのか?
・どのぐらいの時間がかかるのか?

についてお話したいと思います。

コンテの制作費ってどれぐらい?

Studioヤクモレオのコンテの価格設定は

モノクロ線画…1カット2500円
モノクログレー…1カット3000円
カラー…1カット5000円

となっています。
(時間や制作内容によっても多少変わりますが、それについては後述します)
以下は、私の制作したコンテのサンプルです。

「男性が赤いドレスの女性をスケッチしていたと思ったら、
絵に描かれていたのは車で、最後はその車に乗って去っていく」…という車のCMです。

前回も書きましたが、TVCMは15秒~30秒程度がメインなので
大体一つの案(アイデア)で5~10カット制作する事が多いです。

したがって、カラーコンテだと10カット描けば高くて5万円ぐらいになります。

昨今のビジネス漫画や学習漫画ですと、
カラー1ページの単価が安くて1万5千円~高くて3万円ほどなので、
お金を稼ぐことだけを考えたらコンテ制作は割の良いお仕事かもしれません。

では、どれぐらいのクオリティで描くのでしょう?

コンテのクオリティとは?

クオリティは締切との兼ね合いもありますが、
基本的にクライアント様の要望次第です。

単純な絵だから安い描き込まれた絵だから高い…という事がないわけでもありませんが、
「求められたタッチで描ける」=高クオリティとなります。

なので、
コンテは必ずしも制作者が好みのタッチで絵を描いて良いわけではありません。
(タッチが気に入られて、指名される場合もあります)

また、タレントさんの出演を想定したご依頼も多いので、
そういったコンテの場合は当然、出演されるタレントさんに似せた人物を描写する必要があります。

アニメやゲームのCMの場合は、
そのアニメやゲームのキャラクターに似せて描く必要があります。

発注されるコンテの案数が多く締切まで時間が無いと、コンテ制作者を複数人に分ける事もあります。
そうなると当然、制作者毎にタッチが変わってしまいます。
なので、
「アイドルAさんを、コンテ制作者Bさんのタッチで描いて欲しい」
なんて頼まれる事も珍しくありません。

そして時には
「漫画家の○○先生のタッチでタレントさんを描いてほしい」と頼まれることもあります。

 

正直、こうなるともうタレントさんに似てる似てないの話でもなくなってくるなあ…
と私はいつも密かに思っています(笑)

平たく言えば、柔軟性が大事ということですね。
では、どれぐらいの時間で制作するのでしょう?

コンテの制作時間はどれぐらい?

Studioヤクモレオの場合は、

モノクロ制作…24時間で2案
モノクログレー…24時間で2案
カラー…24時間で1案

と設定しています。

つまり、モノクロの場合は1日で最大20枚程の絵を描き、カラーの場合は10枚程描くのですね。

結構厳しいなーと思った方もいるかもしれません。
そう、コンテは何より「速さ」を求められるのです。

深夜0時過ぎに制作を相談されて、朝までに仕上げる…なんて事も珍しくありません。
そういう場合は特急料金として、カットの単価も高くなります。
時間以外に単価が上がるケースとしては、

・群衆シーンが多い
・ゲームやアニメの特殊な衣装や髪型のキャラクター、特殊なボディバランス、特殊な背景が多い
・○○先生の絵柄で描く~といったタッチ合わせが必要

などでしょうか。

最近よくご相談頂くのが、ソーシャルゲームのTVCMコンテ制作依頼です。
特殊な衣装を纏った無数のキャラクター達を、
ゲームに出てくる「前から見た一枚絵」だけで
360度想像で補完して制作しなければならないので、大変です(笑)
こういったコンテは引き受ける制作者さんもあまりいないのか、高額になったりします。

クリエイターにとっての「コンテ制作」のお仕事

「ゲームやアニメのキャラクターを描いてお金を貰えるなんていいなあ!」
…と思う方もいるかもしれません。

しかし、どんな依頼があるかは分かりませんし
当然守秘義務もある為に、制作者は描いたものを公表する事も出来ません。
(このブログに載せた例も、サンプル用に制作したものや趣味作品の流用になります)

メーカーなどの権利者が関わっていて、
起用が決まればタレントやキャラクター原作者にも対価が発生するので
著作権や肖像権などの問題が発生するようなことは無いわけですが、

・誰にも見せられない絵を描く
・誰もが目にする有名なCMになっても、その事実は言えない
・一つのクライアント様に気に入って貰えても、それ以上の発展は難しい

…というのが、コンテ制作の寂しいところかもしれません。

クリエイター側の視点で見ると、コンテのお仕事だけを引き受けていると
「この一年間どんな作品に関わったか?どんな作品を作ったか?」
といった発表をしたくとも、何も発表できるものが無い…という状況になりかねないので、
もし興味を持った方がおられましたら
バランスを考えてお仕事を引き受けた方が良いのかもしれません。

 

→コンテ制作のご要望はこちらから

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