「I Love Youは世界の言葉」のMVを制作させて頂きました。

お久しぶりです。ヤクモレオです。

今回はSUMIRE1222さんの楽曲
「I Love Youは世界の言葉」のMVを作らせて頂いたので
メイキングっぽい事を書きたいと思います。

Cinema4DとBlenderで制作

私はこれまでCinema4DとAfterEffectsを使って映像を作ってきましたが、
今回初めて、Blenderを使ってみました。

使ったのは主に人物で、
動画内の8割はVRoidモデルをBlenderでアニメーションさせています。

記事の最後に、
「Cinema4DとBlenderはどっちが使いやすい?」
「Blenderを使うメリット」
という個人的な感想を書いています。気になる方は是非読んで下さいませ。

キャラアニメの為に用意したBlender環境

Blenderでキャラクターアニメーションを制作するにあたって
複数のアドオン(機能拡張)を導入しました。

数が多いですが、全て組み合わせて使っているのでどれも必要なものでした。

導入したBlenderアドオンの簡単な説明

「Auto-Rig Pro」
モデルに簡単にリグを設定するアドオン。
(リグ=キャラクターを簡単に動かすための仕掛けみたいなもの)

「Auto-Rig QuickRig」
VRoidモデルを含む、VRMモデルを
ほぼ全自動でリグ設定してくれるAuto-Rig用の追加アドオン。

「Animation Layers」
各モーションをレイヤーで合成させることが出来るアドオン。
例…「歩くモーション」と「腕を上げるモーション」をそれぞれのレイヤーで作ると
歩きながら腕を上げるモーションが作れる。

「Voxel Heat Diffuse Skinning」
自動でウェイト設定をしてくれるアドオン。
(ウェイト設定=人物の骨を動かした時、どの部位が連動して動くか?といった設定みたいなもの)

「Bone Physics(Gravity Collider Physics Plugin)」
髪の毛やスカートなどの揺れ物を簡単に設定してくれるアドオン。

「VRM Add-on for Blender」
VRoidモデルを含む、VRMモデルをBlenderに読み込む&Blenderから書き出すことが出来るアドオン。

「iFacialMocap Panel」
iPhoneアプリ「ifacialMocap」で撮影した自分の表情を
VRMキャラクターに反映させるアドオン。

「Better Fbx Importer & Exporter」
標準機能では上手く読み込めない、書き出せないFBXやOBJなどのファイルを
読み込み、書き出し出来るアドオン。

「LightningBoy Shader」
Blenderでアニメ調の表現を設定するためのアドオン。
背面法を使って自動的に線画を付けてくれる機能もある。

アドオンを使ってみた感想

どれも素晴らしいアドオンです。
ですが、使いこなすにはトライアル&エラーを繰り返す根気が必要だと感じました。

そもそも、キャラクターアニメーションは他と比べて複雑になりがちなのか
想定外な結果に悩まされやすい気がします(汗)

Cinema4Dでもそれは同じだったので
アドオン制作者様に質問したり、
試行錯誤して自分なりの解決方法を見つけていくことが大事になりますね。

一つ一つ、紹介したい気持ちもあるのですが
記事が長くなってしまうのでまたの機会にしたいと思います。

モブ(群衆)は「Anima」を使用

楽曲の間奏部分に登場する
「オスピス・ド・ボーヌ」で歩いている人達や、
後半に登場するバーのお客さん達Animaという群衆制作ソフトで作っています。

Animaの良いところと残念なところ

群衆を作るソフトはいくつかありますが、Animaは比較的安価で使いやすいです。

Anima Pro(買い切り版) 279€…約4万円
Anima All(サブスクリプション版)649€…約9万円

特にCinema4Dとは連携出来るように作られているので相性が良いですね。
とはいえ、Animaで制作した群衆はFBXで書き出してBlenderに持って来ることも可能です。

良いところは群衆の数を増やしても重くならないところ、
残念なところはアップには厳しいところでしょうか。
例えば会話している設定の人物であっても口や目は動きません。

最新のバージョンではアップにも耐えられる「4Dキャラクター」というモデルが
収録されましたが、種類が少なく追加購入も高額な為、サブスク版でないと厳しい印象です。
私は今のところ遠景用の群衆のみと割り切って使っています。

Animaには任意のモデルを追加できる

Animaは本体に収録されている人物モデルやモーション以外にも
任意のモデルやモーションを追加できます。

下記の動画は数年前にテストしたものですが、
VRoidベータ版の女性モデルをAnimaで動かしています。

今回のMVでは、メインの人物は「アニメ系のVRoidモデル」なのに、
群衆はAnimaに収録されている「リアル系のモデル」なので違和感があるのは自覚しています(汗)
どこかのタイミングで、モブ用のモデルを何種類か作っておきたいと思っています。

Animaは無料でも使える

Animaは有償ソフトですが、無料でも使えます。
「Anima-Lite」というバージョンがあるのです。
アニメーションは4秒まで、1シーンにモーション付きモデルは5体まで
…という制限がありますが、例えば漫画やイラストのモブに用いたり
下絵としての利用などであれば、無料版でも十分に役立つと思います。

ダウンロードは→こちら

Cinema4Dを使った背景制作

今回のMVでは一部を除いて、背景はほぼCinam4Dです。

Cinam4DでRedshiftを用いてレンダリングしたものを
AfterEffectsで加工してイラストっぽくしています。

Redshiftでのレンダリング時間にどれぐらいかかったか

レンダリング時間はシーンによりますが
1フレームあたり20秒~50秒ぐらいでしょうか。
1秒30フレームで制作しているので、
3秒の動画=90フレーム=レンダリングに30分~75分という感じです。

10秒の動画を作るのに約3時間ぐらいかかると考えると、
修正や追加があるとなかなか大変です。
(ちなみにPCのスペックはCPU…5950X、GPU…RTX3090、メモリ…64GB)

レンダリングのクオリティと時間は比例するので、
綺麗な動画を求める場合はもっと時間をかける必要があります。
が、私の場合はそもそもフォトリアルを求めているわけではないので
ある程度割り切ってスピード重視の設定でRedshiftを使っています。

スピード重視=ノイズやフリッカーが発生する可能性がある…
わけですが、その対処については後述の仕上げ段階で行っています。

Cinema4Dの背景とBlenderのキャラクターを合わせる

「Cinema4Dで作った背景」「Blenderで作ったキャラクター」をレンダリングして
AfterEffectsで合わせるのは簡単ですが、
なにも考えずに合わせると背景とキャラクターの立ち位置がおかしかったり
カメラの動きが合わなかったりします。

なので、双方のカメラ位置を合わせる必要があります。
このMVでは先にCinema4Dで背景のアニメーションを作っていたので
Blenderに「Cinema4Dの背景モデル」と「Cinema4Dのカメラ」を持って来て合わせました。

しかし、Cinema4DのデータをFBXに書き出して持って来るだけではカメラが合いません。
今回、地味に情報が無くて苦労しました(汗)
具体的には、

1、焦点距離が変っている場合はCinema4Dの焦点距離を参考に「36mm」などに直す。

2、カメラの「範囲の開始」「終了」を調整する。
「範囲の開始」…0.01m「終了」100m など。

3、カメラのスケールのXYZのうち、XとZにマイナスを加えて「-X 」「-Z」にする。

というやり方でピッタリ合わせることが出来ました。
ちなみに、Cinema4Dで「ヌルの中にカメラを入れて回転させていた場合」も問題なく読み込めます。

※Cinema4D R21を使用。FBXの書き出し設定次第なところもあるのでご留意ください。

AfterEffectsでの仕上げ

3DCGソフト内で完結させたい気持ちもあるのですが、
私はBlenderやCinema4Dから書き出した動画をAfterEffectsで仕上げています。

※上記動画は大きな画面で見ないと差が分からないと思います。
分かりやすく説明するために作ったもので、MV全体に同工程を行っているわけではありません。

今回、主に使ったのはこちらののプラグイン。
1.Magic Bullet Looks
2.Neat Video
3.ScaleUp
4.LensCare
5.OpticalFlares

1「MagicBulletLooks」

MagicBulletLooksは映像の雰囲気を一気に変える事が出来るプラグインです。
使わなかった映像案件は無いかも…?というぐらいにお世話になっています。

上の画像は「夢見心地な雰囲気」を表現するのにLooksを使った例です。

開発元のRedGiantがMaxon傘下になったので、
現在は単体での購入が出来なくなったのが惜しいですね。

2「Neat Video」

ノイズやフリッカーなどを目立ちにくくしてくれるプラグインです。
前述の通り、私は3DCGソフトでは速度重視でレンダリングしているので、重宝しています。
Cinema4Dの「Sketch and Toon」を使って書き出した線画のパカツキも、ある程度は誤魔化してくれます。
ただ、何も考えずに使うとボヤけた眠たい絵になってしまうので注意が必要です。

3「ScaleUp」

標準機能ではスケールを上げると絵がぼやけてしまいますが、
このプラグインを使うとパキッとした絵を維持して拡大出来ます。
(スケールを下げてScaleUpを使えば、見た目のサイズそのままで使うことも出来ます)
中でも「Cartoonモード」は強力で、方向性が合えば活躍してくれるでしょう。

今回はこのプラグインがあることを見越して、
あえてBlenderでは少しカメラ位置を離してキャラクターをレンダリングしたシーンもありました。
例えば、ダンスシーンで全身をレンダリングしておけば、
後から「バストアップ」や「顔のアップ」で使う事が出来るので自由度が上がります。

※上の動画は大きな画面で見ないと差が分かりづらいと思います。

また、副産物的なメリットとしては
Blenderで背面法を用いて線画を表現した際
アップになると綺麗に表現されないところが目立つのですが
あえてミドルショットぐらいでレンダリングしておき
Scale Upで拡大させると、そういった部分を誤魔化せる場合があります。

反面、若干色味が変わったり意図しない雰囲気になる可能性もあるので、
色調補正するなど調整が必要になるかもしれません。
PCへの負荷も高めなので、長尺動画の解像度アップに使う場合は覚悟が要りそうです。

同系統のソフトやプラグインは他にもありますが、比較的安価なのも嬉しいですね。
ちなみに動画ではなく画像の解像度を上げたい場合は
無償Real-ESRGAN-GUIがお勧めです。

4「Lenscare」

カメラのリアルなレンズボケを再現出来るプラグインです。
3DCGソフトから書き出した深度情報を元にボケを付けることも出来ます。
「綺麗なボケを作れる」
…え!?それだけで2万円!?とAeを触り始めた時に思ったのを覚えています。
スペックの低いPCを使っていた頃は動作が重くて困りましたが、今は気楽に使えています。
ただ、安価な競合プラグインも色々リリースされているので
今から買うならLenscareでなくてもいいかもしれません。

5「OpticalFlare」

様々なフレア(光の演出)を作る事が出来るプラグインです。

使いやすく動作も軽いので重宝しています。
漫画に用いる素材の制作に利用した事も。
フレアは3DCG内で付けたらいいのでは?と言われればその通りなのですが。

Cinema4DとBlenderを比べて感じた事

Cinema4DとBlenderはどっちが使いやすい?

どちらもある程度触った者として、
個人的に使いやすいのはCinema4Dだと思います。

理由はCinema4DはUIが優れており、
事前知識がなくともある程度直感的に使うことが出来ます。
ボリュームを用いた非破壊のモデリングは
複雑な形状を簡単に作ることが出来ますし、
タグによる管理も分かりやすく、プロジェクト全体を把握しやすいです。

また各機能の連携が取れていて、
「機能Aを覚えたら機能Bでこういった応用が出来るのでは?」
という予測が出来、そして大体予測通りに動いてくれます。

「触りながら自分なりの使い方を開拓していく」
それが好きな人にとっては最高のツールだと思います。
アーティストやデザイナーさんがC4Dを好むのがよく分かります。
ていうか正直、Cinema4Dは最高です。

しかし逆に、
「こういうことがしたい!」と思った時にピンポイントで情報を得るのがちょっと難しいです。
海外のサイトやチュートリアル動画を翻訳しながら学ぶ…というのが必須になると思います。
これはBlenderと比べて日本人の趣味ユーザーが少ないから仕方ないかなと。

BlenderはCinema4Dと引けを取らない性能を持った3DCGソフトでありながら
無償で利用できるので、圧倒的にホビーユーザーが多いです。
そのため解説動画や記事が多く、
「こういうことをしたい!」と思った時にピンポイントで情報にたどり着きやすいです。

Blenderは専門用語を知らなくても答えに辿り着ける

Blenderを使い始めて一番嬉しかったのはこの部分ですね。

Blenderは「同じ機能についての説明」でも
ユーザーがそれぞれ自分なりの使用目的と言葉で解説情報を作ってくれているので、
専門用語を知らなくても答えにたどり着ける可能性が高いのです。

例えば、
「光に手をかざして透けさせる方法を知りたい」と思ったとします。
は?え?何を言ってるか分かりませんよね?
(※あくまでイメージを伝えるための一例です)

これは翻訳すると
「SSS(サブサーフェイススキャッタリング)の使い方を知りたい」という話なのですが
SSSという専門用語を知らない場合、ピンポイントで答えに辿り着くのが難しいわけです。

ですが、Blenderだとそんな状況でも
「光 手 透ける blender」
など無理矢理に検索すれば、結構「答え」や「答えにつながるヒント」が出てきます。
そして、結果的に「SSS」という専門用語を知ることが出来るわけです。

これは、多くの日本人ユーザーがそれぞれ自分の言葉で
Blenderでの機能解説をしてくれているからだと思います。

Blenderを使うメリット

・無償。持っている全てのPCにインストールし、同時利用も可能。
・リーズナブルでハイクオリティな有償講座が多い。
・アドオン(機能拡張)が安価。
・分からないことを聞ける人がいる。
・「グリースペンシル」や「ジオメトリノード」などの独特な機能とその発展に期待できる。

無償。複数のPCにインストールし、同時利用可能。

Blenderはオープンソースの統合型3DCGソフトで、
無償で使う事が出来ます。
PCとネットがあれば、いつでも誰でも最新版を使う事が出来るのです。

複数のPCにインストールし、同時利用も可能。
なので、一つのPCでレンダリング中に別のPCで作業を進められます。

また、通常のソフトウェアの場合、「家族に使い方を教えたい」と思ったら
家族分のライセンスを購入しなければなりません。
複数台のPCにインストールは認められていても、同時起動は出来ない仕様が多いので
PCを並べて教えるというハードルは結構高いわけです。
しかしBlenderはそれが簡単に出来ます。

アップグレード費用もサブスクリプション維持費もかかりません。
これは過去に制作した作品はいつでも開くことが出来、
お金と時間をかけて習得したCGスキルが金銭的理由から活用出来なくなることは無い
という事です。

リーズナブルでハイクオリティな有償講座が多い。

Youtubeでの無償チュートリアルも勿論良いのですが、
私はUdemyというチュートリアルサイトで
「うめちゃん Umechan」先生の講座などでBlenderを学んでいます。

中身の詰まった講座が、セール時には1200円程で購入できます。
分からない部分があれば、日本語で質問して日本語で答えて貰えます。
この安心感は学習へのモチベーションに大きくつながります。

アドオン(機能拡張)が安価。

Blenderは本体が無償なのもあってか、アドオンも無償のものが多いです。
そして、有償でも数百円から数千円のものがほとんどです。

AfterEffectsCinema4Dの場合は数千円から数万円のものが中心なので
最初はその価格差に驚きました。
また、ユーザーが多い分アドオンの情報も豊富で
「自分が求めていることがこのアドオンで出来るのかどうか分からない」
という場合でも調べればレビューが出てきます。助かりますね。

そしてまた、ほとんどのアドオンが
一度購入すればアップグレードは無料という点もありがたいです。

ただ、そうは言ってもCinema4D用の高額なアドオンは、出来ることもそれだけ多いです。

例えばBlenderのBotaniqCinema4DのForester
どちらも植生を作る機能拡張ですが
前者がほぼ出来合いの樹木を配置するものであるのに対して、
後者は幹の大きさ、枝の数、花弁の数など細部にわたって調整可能です。
これによって現実には存在しない木や、プリセットに無い木は自分でサラッと作る…といった
柔軟性があります。
(Blenderもジオメトリノードで将来的に可能になるかもしれませんが)

分からないことを聞ける人がいる。

操作に詰まった時、
バグなのか仕様なのか分からない状況になった時に質問がしやすいです。

前述の講座の内容であれば、勿論講師の方に質問出来ますし、
BlenderMarketで販売されているアドオンについてであれば
購入前でも購入後でも、開発者の方に質問できる場が用意されています。

そして開発の皆さんは驚く程迅速かつ丁寧に対応してくれます。
実際、色んなアドオン開発者さんに私は質問しまくったので(汗)

また、SNSでもユーザーが多い分、質問すれば答えて貰える確率が高いです。

独特な機能とその発展に期待できる。

グリースペンシル絵描きスキルのある人にとっては、
その技術をそのまま3DCGの中でも生かすことが出来る特殊な機能です。
他のソフトにはない魅力が詰まっています。

そして、ジオメトリノード
この機能さえあれば、どんなことでも出来てしまうのでは?
思わせてくれる発展性の高い機能です。

大事なのはその機能を活用、公開、解説している人達が大勢いるという事かなと思います。
どれだけ素晴らしい機能があっても
使用者がいなかったり、使い方が分からなければ絵に描いた餅になりかねません。

その機能によって何が出来るのか?どう使えばいいのか?
習得は難しくとも、ユーザーが情報に簡単にアクセスできる
そういった環境が、Blenderの強みだと感じました。

まとめ

…というか今回のMVについての反省点ですね。

・動物(馬)の動きをもっと何とかしたかった。
Autorigは動物にも対応しているので、自然に動かせるよう精進したいです。

・モーションキャプチャーを使いたかった。
今回、webカメラを用いて人物モーションを作ろうと頑張っていたのですが
キャパオーバーで断念しました。
テストは十分出来ていたので、機会があればチャレンジしたいです。

・指の動きを何とかしたかった。
指はAutorigで自由に動かせるのですが、細部まで気を使う余裕がありませんでした。
今後の為に、ハンドポーズのプリセットを作っておきたいと思いました。

非常に長く、とりとめのない記事となってしまいましたが、
どなたかの参考になれば幸いです。

最後に、MV制作のご依頼を頂いたSUMIRE1222様
この度はどうもありがとうございました!

映像、イラスト、漫画、コンテなどの制作、画像加工を承っております!→こちら

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