Blenderアドオンの選び方
Blenderにはアドオンが大量にあり、
さてどれを選んだら良いのか…?という悩みを抱える人も多いと思います。
勿論、目的次第ではありますし、人それぞれに正解もあるわけですが。
ここではある程度、色んなアドオンを購入してきた者の感想として
選び方のポイント…というか「気を付けた方が良い事」を書いてみようと思います。
また、この記事では便宜上
Blender向けの販売されているあらゆる商品(チュートリアル、ジオメトリノード、素材集など)も
ひっくるめて「Blenderアドオン」と呼ばせて貰います。
□Blenderアドオンを買う時に気を付けている事
■どこで買うか
Blenderアドオンは
「Blender Market」「Gumroad」「Booth」など
色々なところで販売されています。
同じアドオンも売られているので、「Gumroadの方がずっと安い!」
というパターンもあります。
例えば、
Gumroadには「購買力平価」というシステムがあり
販売者によっては「日本に住んでいるなら割引するよ」と設定してくれているものがあります。
最近は円安が進んでいるので助かりますね。
そして、有償販売のように見えて
アドオン自体は「github」などで無償公開されているものもあります。
(販売価格は「あくまで寄付」という形)
説明をよく読むと、BlenderMarketでも開発者が
「GitHub」のリンクを載せてくれているものがあります。
ただ、様々な場所で購入すると
管理面で戸惑う事もあるかもしれません。
アドオンのアップデートを確認しようとする時に
「このアドオンはどこで買ったんだっけ?」となりやすいからです。
■多くの人が使っているアドオンはなんだかんだで安心
実も蓋もないですが、
既に多くのユーザーがおり、情報を得やすい人気アドオンは
それだけ「目的をかなえてくれる可能性」「長く活躍してくれる可能性」が高いです。
ユーザーが多いので開発側も利益が出ており、
その分サポートも充実していたりします。
アドオンはBlenderと共に更新されていく必要があるので、
開発側もアフターケアやサポートをするだけの余裕がないと
更新が止まってしまうんですね。
更新が止まってしまうと、
Blender本体が更新された時に不具合が出たり、使えないアドオンになる可能性があります。
■更新頻度
Blender本体は結構更新が激しいです。
Blenderの新バージョンがリリースされても
いつまでも最新バージョンに対応したアドオンをリリースしてくれない開発者もいます。
なので、アドオン購入時にはBlenderMarketのここをチェックしましょう。
この「Blender Version」の欄で
最新バージョンやせめてその一つ前のバージョンまで
フォローしているアドオンを選んだ方が将来性があるといえます。
ただし、やはり開発者も人なので
中には「対応バージョンの表記」を更新し忘れていたり
更新してるのにアナウンス自体していないパターンもあります。
※対応バージョン一欄に載ってなくても、アドオンが問題なく動く可能性もあります。
■サポート力
問い合わせや不具合報告に対してのレスポンスの速さなど。
最近はディスコードのリンクを載せている開発者が多いです。
そこで他のユーザーと開発者のやり取りなどを見てみると
サポートへの力の入れようも分かると思います。
また、
BlenderMarketは購入前でも開発者に質問が出来ます。
「自分の求めている使い方が出来るか?」
など質問してみるのも手です。
需要を伝えることで、機能追加を検討してくれるケースもあります。
しかし、購入前の質問には快く対応してくれても、
購入後の質問は無視…という人もいるので信頼しすぎてはいけません。世知辛い。
正直、
「購入後に返事が無い場合」は
既に開発者がモチベーションを失っている可能性もある…と私は思ってます。
ただ、稀有な例ですが購入後に不具合を問い合わせるもずっと音信不通だった相手が
急に連絡をくれたことがありました。
「家族が病気で亡くなり、しばらく対応できなかった。申し訳ない」
という話で、これが本当なのか方便なのかは置いておいて
「お金を払って買ったのに無視は酷い!」という購入側の気持ちも分かりますが
Blenderアドオンは個人開発の販売者も多く、
相手も人間なのでモチベーションの浮き沈みはある…と思っていた方が気楽かなと思います。
■評価
BlenderMarketのレビュー欄。
アマゾンのレビュー同様に、
素直に商品のレビューをしている人ばかりではないので審美眼を持って読みましょう。
商品レビューページには商品説明ページの以下から行きます。
いわゆるサクラレビューと思しきもの
(レビューがよく見る定型文ばかりだったり)もあれば、
とんでもない理由で低評価を付けられているものもあります。
参考にすべきは、★の数よりも
レビューの内容と開発者側の返信。
サポートをきちんと行う気がある開発者は
返信、またはディスコードのリンクを伝えていることが多いです。
また、ユーザーの環境次第で使い心地が大きく変わるアドオンもあります。
(高性能なGPUを搭載しているかどうかなど)
「動かない」「動作が重い」などのレビューは
レビュー主が自身の環境を併記してくれているかどうかで価値が変わるわけですね。
■購入前に具体的な使い方のイメージが出来るかどうか
開発者が「現バージョン向け」のドキュメントやチュートリアルを用意してくれているかどうかは大きいです。
過去バージョン向けのドキュメントやチュートリアルは
混乱の元になったり、役に立たない事もあります。
BlenderMarketの場合、ドキュメント欄が用意されているので、
ここにドキュメント(説明書)のリンクが載っている場合が多いです。
また、
SNSやブログ記事、youtubeなどでアドオンの使い方を説明してくれている人もいます。
「購入しても使い方が分からない」となると触るまでのハードルが上がってしまうので、
購入前に探してみましょう。
ただ、「アドオンを紹介をしてくれる人」はいても
「実際にアドオンを購入して、その使い方を丁寧に解説してくれてる人」は少ないです。
なので、失敗覚悟で購入するパターンもあるでしょう。
しかし、そういった場合にもBlenderMarketには嬉しい制度が用意されています。
■30日返金制度
BlenderMarketのアドオンは購入後30日以内であれば返金可能な制度があります。
※上記画像は自動翻訳です。本家の説明は→こちら
この制度を利用することで、
「思ってたのと違った」みたいなリスクはある程度防げます。
…とはいえ、利用に気が引ける人もいるでしょう。
実は私もこの制度を使ったことはないです。
ただ、購入前の質問で「30日返金制度もあるから試してみてね」
と言ってくれた人は何人かいます。
自分の作ったアドオンに自信があるからこその発言だと思います。
BlenderMarketの「30日返金制度」や「問い合わせ欄」を考慮すると
「購入前に使い方を調べる」→「アドオンを購入したらすぐに試す」→「困ったら問い合わせる」→「返事が無かったら返金申請」
まで頭に置いて手を出せば、ストレスを抱えずに済むかもしれませんね。
※すべての開発者がこの制度を採り入れ、
快く対応してくれるかどうかは分かりません。
レビュー欄のやり取りを見ていると、「この状況でも返金が認められないのか」と思う事もあります。
(例…説明に目当ての機能があったので購入したのに、更新によってその機能が削除されてしまっていた)
■セールのタイミング(2023年11月24日追記)
BlenderMarketは大体毎年、
4月、8月、11月に数日間、対象商品が25%オフになるセールを行います。
※2023年11月のセールはなんと30%オフ!
ただ、時季外れのセールを行う時もあります。
10月末にはBlender Conferenceというイベントがあり、
そのタイミングでフラッシュセールを行うこともあります。
開発者によっては、
セール開始の数日前に個人的にセールを始めてしまう人もいます。
「セール期間に使える金額がユーザーそれぞれ決まっている以上、一足先にセールする方が有利」
という駆け引きなのかもしれません。
反対にセールが始まってしばらくしてからセール対象に加わるアドオンも。
「欲しかったアドオンがセールになってなかった!」
という場合もセール期間が終わる前に再度チェックしてみましょう。
中には、
過去一度もセール対象になっていないので
「セールする気が無いのかな?」
と思っていたら、
「チュートリアル動画の説明欄に割引クーポンを載せていた」なんてパターンもあります。
あとはX(旧ツイッター)などのSNSで割引クーポンをツイートしてくれてる場合も。
リリース記念セールはアドオンごとによく行われるので、
開発者をフォローしておくといいかもしれません。
しかし、「25%オフ」は高額なアドオンであれば大きいですが、
元々安価なアドオンでは大差ないともいえます。
欲しい時、興味を持てた時が買い時!というのもあるでしょう。
□番外編 Blenderアドオンあるある
■購入後にアドオンに差分バージョンが作られることがある
Blenderのアドオンは「一回買ったらその後のアップデートは無償」
というものが多いです。
周囲がそうしているので、そうせざるを得ない…という開発者もいると思われます。
そんな背景があるからか、
購入後に「差分バージョン」がリリースされることがあります。
どういうことかというと、
「試用版(機能限定)1ドル」か「通常版10ドル」
で販売されていたものがいつの間にか
「試用版(機能限定)1ドル」か「通常版10ドル」か「プロ版(商用利用可)20ドル」
となっていたりします。
「え!?ちょっと待って!通常版10ドルしか売ってない時に買ったのだけど、商用利用は買い直しなの!?」
みたいなパターンが起きるわけですね。
ケースバイケースなので、そうなると開発者と連絡を取ってみるしかありません。
■セール価格が通常価格になる
前述の通り、
リリース時にセール価格で売り出すアドオンは結構あります。
「リリース記念価格で今なら半額!」
という感じです。
しかし、いつの間にかその「リリース記念価格」が
そのまま「通常価格」になっているパターンも多いです。
「セールなんて元からなかった」と捉えるか、
「セール価格を据え置きなんて素晴らしい!」と捉えるかは
あなた次第。
■GumroadでPaypalが使えない!(2023年11月15日 追記)
Gumroadは販売者の設定によって
商品がPaypal支払い出来ない状態になっている場合があります。
その場合、購入方法から「Paypal」の項目がなくなっています。
同じ商品がBlenderMarketで販売されていれば、Paypalで買える可能性もあるのですが、
中には「Gumroad専売なのにPayPalが使えない!」という商品もあります。
私は先日、とあるアドオン販売者の方に「PayPalで買いたいです!」と問い合わせたところ、
「PayPal経由の購入を禁止していないし、設定自体も見当たらないのでGumroad運営に問い合わせてくれ」とお返事を貰いました。
運営に問い合わせたところ、
「販売者の設定によるもので、購入者にはどうすることも出来ない」と返事を貰いました。
その旨を販売者に伝えると、彼は
「申し訳ない。支払いを受け取るオプションと支払いのオプションを勘違いしていた。
今は買えるはずです。指摘してくれてありがとう」と返事をくれました。
つまり、単純に勘違いからPayPal購入できない状況になっている商品もある、という事です。
モンスター購入者の様に思われてしまうかもしれませんが
意図せずPayPal購入を弾いている場合、販売側からしても機会損失なので
問い合わせることで感謝されるというパターンもあるかもしれません。
■「Cycles専用」、「Eevee専用」のアドオンがある
Blenderには「Cycles」と「Eevee」というレンダラーが標準で2種類搭載されています。
なので、アドオンやマテリアルなどの素材集の中には
「Cycles専用」「Eevee専用」といったものがあります。
ほとんどの商品には「どちらか専用」または「どちらでも使える」と説明があるのですが
商品説明の本文や説明欄に記載がない場合もあります。
「〇〇の機能はCyclesでしか使えない」=「Cycles専用」
と、ある程度知識があれば想像出来る場合もありますし、
「アドオンの内容的にレンダラーは関係ないから説明しなくてもいいだろう」と
考えて作者が省いているパターンもあるでしょう。
説明に出てくる作例がすべて「Cycles」だと、
「ああ、Eeveeでは使えないのだな」と購入側が勝手に受け取ってしまうケースもありそうです。
私が知る限り、
実際はどちらでも使えるのに「Cycles専用」とSNSで語られているアドオンもありました。
正直これについてはケースバイケースなので、作者に質問してしまう方が早いです。
出品側からしても答えるのに手間がかからないのですぐに回答を貰えると思います。
私自身はほとんどEeveeしか使わない為、
Cycles専用アドオンを買ってしまったらと思うとダメージが大きいです。
■SNSで話題になってるアドオンってやっぱりいいの?
新しいアドオンが登場すると、
X(旧ツイッター)などではインフルエンサーによる
紹介ポスト(旧ツイート)が拡散されたりします。
ただし、「リポスト(旧リツート)」や「いいね」の数字は
あまりアドオンの出来の参考にはならないと私は感じています。
というのも、
SNSの「リポスト」や「いいね」は
「期待できそう」「忘れないようにメモ」「後で見る」みたいな側面が大きいので、
「実際に触ってみたらこうだった」という投稿でない限りは
あまり参考にならないと自分は思っています。
そして、「実際に触ってみたらこうだった」という
投稿をしてくれる人は本当に少ないです。
私はわりとする方なのですが、
ポストすると開発者自身が見つけてくれて
返事をくれたり、フォローしてくれたりします。これは普通に嬉しいです。
■権利違反と販売終了
Blenderアドオンの販売者の中には時々、
他者が権利を持っているものを自身の商品に含めて販売してしまう人がいます。
過去、騒ぎになって販売取り消しとなった商品もありましたが
SNSで知識のある人が問題として取り上げたことで運営が動いたようでした。
審査で弾けるのが理想ですが、なかなか難しいのでしょうね。
困るのは運営が返金してくれても、
商品を使って何かを既に作ってしまった場合です。
依頼されて納品してしまった場合などのことを思うと恐ろしいですね。
また、販売後しばらくして
アドオンの販売が終了となり、販売者が用意していたYoutubeのチュートリアルや
SNSなどのアカウントをすべて消去してしまう…というパターンもあります。
こうなると、「使っていて大丈夫なのか?」「アップデートはどうなる?」
という状況になるのでこれまた悩ましいところです。
(戦争の影響で一部の国のアドオン開発者の商品が購入不可に…というパターンもありました)
こういった部分を加味すると
やはり老舗のアドオン開発者は信頼度という点で有利だなあと思っちゃいます。
■まとめ
色々書きましたが、私はBlenderアドオンが大好きです。
販売サイトでBlenderアドオンを見ていると、
昔、ゲームショップで色んなソフトを眺めていたような気分になります(笑)
というのも、Blenderアドオンはジャンルが幅広くてワクワクしますし、
他の映像制作ソフトのプラグイン、機能拡張、スクリプト、素材集などに
比べると価格設定が半額~10分の1ぐらいなのです。
Blenderアドオンの数倍ぐらいの値段でライセンスを買って、
更新料を毎年払って…みたいな製品でさえ
サポートが音信不通になったり、理不尽な対応をされたり、
買収されて更新不可になったり、サブスク移行で更新不可になったり…
という経験を私はしているので、尚更そう感じるのかもしれません。
最後まで読んでくれて、どうもありがとうございました。
どなたかの参考になれば幸いです。
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