「Uの悲劇」のMVを制作させて頂きました。

SUMIRE1222様のご依頼で
「Uの悲劇」という楽曲のMVを制作させて頂きました。

「反戦ソングのMV」という事で大分、表現に悩みました。

今回は「Blender」と「MarvelousDesigner」の連携や
フォトグラメトリの背景を用いた、メイキングよりな記事です。

予算と制作期間と表現内容

いつもはコンテを元に相談して内容を調整していくのですが、
今作は

・現実に起こっている戦争である為に表現には気を付けたい
・予算と制作期間を抑えて作る

ということで、
「限られた予算と制作期間の中で出来る表現」を検討する事から始めました。

結果的には
「戦争によって破壊された街」と「戦争前の美しい街の様子」を描写し、
そこに物語性を少し足す…という形に落ち着きました。

背景シーンの制作

最初は予算の都合もあり
「街の画像をスライドショーの様に表示していく」というお話でした。

が、たまたまX(旧ツイッター)で
「戦争時の建物を撮影して作られた3DCGモデルが配布、販売されている」
というポストを見かけたので、これが使えないだろうか?と話し合いました。

フォトグラメトリによって作られた3Dモデルを試す

その3DCGモデルは「Artstation」という
EPICが運営している素材サイトで配布、販売されていました。

今回は「USCANS」さんと「Anatolii Umanets」さんが配布、販売している「拡張商用ライセンス」のモデルを選択。
(拡張商用ライセンス…ストックアセット販売数や閲覧数に制限のない商用プロジェクトに使用可能)

投稿者や素材撮影者様の情報、商品詳細はリンク先(お名前をクリック)をご覧下さい。

また、現状を憂いて
同じArtstationで「戦争前のU国の美しい風景画像」を公開、配布されている方もいたので
こちらも使わせて頂きました。

→こちら

フォトグラメトリとは何か?

今回のMVで用いた3DCGモデルは
フォトグラメトリという手法で制作されたもののようです。

さて、フォトグラメトリとは何でしょうか。

フォトグラメトリとは、
写真を角度を変えて大量に撮影し
専用ソフトで編集して3Dモデルに仕上げる技術の事です。

※制作方法に興味がある方はこの動画が大変詳しく解説してくれています。
→こちら

さて、今回実際に取得したデータのうちの一部を見てみましょう。

・ロングショット

・アップショット

上記の画像のモデルはどちらも同じものです。
遠くから見るとかなり細かく、良く出来ているのですが
近くで見るとエッジは甘く、テクスチャもボヤけており
場所によってはアップで使うのは少々厳しい印象です。

「撮影した写真から3Dに起こす技術」なので、写真が無いところはどうしても破綻していたり
裏側が無かったり、拡大すると潰れていたり、樹木などは緑色の塊になっていたり
…というのもある程度、仕方がない事なのだろうと思います。

これをなるべく違和感無く使う為、少し工夫しました。

フォトグラメトリのモデルを工夫して使う

今回はBlenderでこれらの3Dモデルを読み込んでレンダリングしたのですが
上記の理由から若干工夫が必要でした。
具体的には、

・破綻している部分は映らないようにカメラワークを付ける
・粗い部分はカメラの被写界深度機能でわざとボケさせる
・粗さの目立つ地面などのメッシュはスカルプトで調整する
・粗い樹木は別の樹木モデルに差し替える
・手前のモデルには線画を付ける
・全体に砂埃を加える

…などなど。

まあそれでも、どうしようもない箇所はやはりあるので、
多少割り切った場面もあります。

そうしてレンダリングしたものを、
AfterEffectsで更にイラストっぽく見える様に調整しました。

また、「戦争前のU国の美しい風景画像」も元の状態から水彩絵っぽく加工しました。

※AfterEffectsを用いた画像や動画の加工につきましては、過去の記事をご覧ください。
→こちら

人物と衣装

キャラクターとアニメーション

人物はVRoidモデルを利用しました。
権利面に心配がなく、容姿も自由に変更できるので重宝しています。

今回は12歳前後ぐらいの女の子を作りました。
モデル自体は服が無い状態で作成し、
衣装は「Marverous Designer(以下MD)というソフトで別途用意します。

VRoidモデルを書き出したら、
「VRM Add-on for Blender」というアドオンで「Blender」に読み込みます。

更に、「AutoRigPro」というアドオンを使って、
VRoidモデルにリグ(モデルを動かすための仕組み)を付けます。

リグを設定したら、次はモーション(動き)を付けます。
モーションは「AutoRigPro」のリグを使い、手足を動かしたりする事で付けられます。
が、「Mixamo」というサイトで出来合いのモーションをDLして使う事も可能です。
ここでは後者の方法で進めます。

「AutoiRigPro」には「Mixamo」のモーションをリマップする機能もあるので
理想に近いモーションをDLして、そこから調整して目的のモーションを作る…という事が出来るのです。

モーションが出来たら
Alembic形式で書き出してMDに持っていきます。
MDは衣装を作成したり、
その衣装を着せてリアルなクロスシミュレーションを行うことが出来ます。

今回はMDでワンピースを着せました。

MDクロスシミュレーションを行うと、
モーションに合わせて実際の衣装の様にリアルに動く「衣装のアニメーション」を作ることが出来ます。

MDから「衣装のアニメーション」を書き出して再びBlederに読み込みます。
Blederで元のモーションと衣装のアニメーションを合成します。

そんな感じでレンダリングまで行ったものがこちらです。

細部の工程は端折っていますが、
「Uの悲劇」ではこんな流れでキャラクターアニメーションを作っています。

Marverous Designerを使う理由

「VRoidを使うのであれば、VRoidStudioで衣装も付ければ良いのでは?」
…と思う方もいるかもしれません。

Vtuberのアバターなどに使う場合は勿論それでも良いのですが
私の場合は目的が映像制作なので、MDの方が都合が良いことが多いのです。

人物3Dモデルを動かしたことのある人なら分かると思うのですが
「ロングスカート」「着物」といった衣装を着たキャラクターを
違和感なくアニメーションさせるのはなかなか難しく、
「自然に足を組んでイスに座らせる」などしようとすると、相応の技術が必要になります。

その点、MDであれば優秀なクロスシミュレーションに任せてしまえます。
(独特なクセや作法のようなものはありますが…)

※上記動画はよりアニメっぽく見せるためにAfterEffectsでフレームレートを下げています。

そしてMDは「型紙を調整するシステム」なので
半袖を長袖に変えるなども簡単で
「オートフィット機能」を使えば元の衣装サイズに関わらず、モデルに着せることも出来ます。
(子供服を大人に着せることも出来る)


なので例えば、

・季節や場所が頻繁に変わるMVで、場面ごとに人物に違う衣裳を着せる
・ロングスカートや着物でリアリティを保ちつつ、アクションさせる

という場合に特に重宝します。

衣装を着せるのにウェイトペイントも要りませんし、
床、椅子などとの衝突も考えなくて良いのです。

反面、MDは事前にシミュレーションした衣装を着せる事になるので、
着せた後にリアルタイムで動かすことは出来ません。

…とはいえ、MDによるクロスシミュレーション結果が不要なのであれば
「MDで作った衣裳」を一般的な3Dキャラクター用の衣装として使う事も出来ます。
(もしかすると、本来こういう使い方の方がメインなのかもしれません)

■Marverous Designerで作った衣裳をキャラクターに着せる

まず、この動画はMDでクロスシミュレーションさせた動画です。
※モーション制作に「Cascadeur」というソフトを用いていますが、そこは今回無関係なので無視してください。

・動画1

次は、同じキャラクターに同じ衣装を「kiseru」というBlenderアドオンを使って
キャラクターに着せて動かしたものです。

・動画2

「動画1」はマフラーやコート、スカートがそれぞれ個別に動き、
リアルなシワを形成していますが、クロスシミュレーションによる事前計算が必要です。

「動画2」はキャラクター本体とマフラーやコートのベルトなどが
一体化して貼りついているようにも見えますが、衣装も含めて一般的な3Dモデルと同様に動かせます。

一長一短ある感じですね。

例えば
学園物などで制服を着ている主人公のアップショットは前者で作り、
主人公のロングショットや同じ制服の生徒達のモブは後者で作る
…など、使い分けするのが良いかなと思います。

まあそういったメリットがありつつも
今作では予算と納期の都合もあって
主人公の女の子はワンピース姿のみなのですが(笑)

まとめ

駆け足となりましたが
「Uの悲劇」ご視聴頂けますと嬉しいです。

どうぞよろしくお願いいたします!

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