映像制作用の絵素材を作る。
Studioヤクモレオは
絵素材も含めて映像制作依頼を頂く事が多いのですが、
「この絵を使って下さい」と素材をお預かりする事もあります。
そういった時に、
「これは困ったぞ」と思う事もあるので、まとめてみたいと思います。
■1、絵素材のサイズ
「一般的な映像のサイズは
1280×720(HDサイズ)、1920×1080(フルHDサイズ)です」
と伝えると、
「ではそのサイズで絵を描きますね」という方もおられるのですが、
それだと用途が限定されてしまいます。
具体的には、
「アップで使おうとすると粗い…!」などです。
映像制作者は預かった1枚絵を様々な見せ方で演出します。
・ロング…基本はこのサイズで使うから~と人物を小さく描いた場合…
・アップ…アップで使うと粗くなってしまう。
Ai(イラストレーター形式)のパスで描かれた絵素材であれば
拡大縮小で劣化する事はないのですが、
JPEG、PNG、PSDの場合はある程度大きなサイズで描いた絵素材を渡すようにした方が良いです。
Studioヤクモレオの場合は
「ClipStudioPaint」を絵素材の作成によく使います。
ClipStudioPaintで「主線をベクターレイヤーで描いたファイル」は
主線の太さを後から無劣化で調整出来るので拡大縮小させた際に使い勝手が良いのです。
もちろんそのままではAeには読み込めないので、PSD形式で書き出したものを使用します。
■2、透過状態のチェック
多いのがこんなミスです。
どこがミスかこの状況では分かりませんが、バックと重ねるとこうなります。
目が…!!つまり、「塗り漏れ」です。
白眼の塗り忘れは地味に多いです(笑)
これはアニメーターさんに教わった方法なのですが、
赤や青など一色に塗りつぶしたレイヤーを絵素材の下に配置してチェックしてみると気付きやすくて良いです。
この問題の簡単な対処法としましては、
イラストソフトで新規レイヤーを作り、
線画と着色部分をすべて選択して真っ白で塗りつぶしたシルエットを作成し、
レイヤーの一番下に配置してしまうことです。
それ以外にも、主線の外にゴミがあったりする事もままあります。
映像で動かすとゴミも一緒に動き、目立ってしまうので注意しましょう。
■3、絵素材の反転を許可するかどうかを伝える
「絵素材を反転して使ってほしくない」
という場合は伝えておいた方が良いかもしれません。
前述の通り、映像制作者は一つの絵素材を色々な演出で生かそうとする為、
「右向きの絵を左向きに反転させる」のはよくやります。
ただ、
「髪型が変わってしまう」
「右利きのキャラが左利きになる」
「シャツの右前、左前が変わってしまう」などの問題もあるので、
気にされる場合は伝えて貰った方が無難かと思います。
逆に、
左右反転して使うことを前提とした動画をお求めの場合は、
最初から絵素材を左右対称のデザインで制作しておいたり、
シャツや着物など、右前と左前があるものはあえて省略して描いておくと良いと思います。
■4、画像の形式
最後に前回の記事
「PNG画像で背景アニメーションを作る。」でも説明させて貰った画像の形式です。
詳しくはこちら。
簡単に説明しますと、
バックが透過しているPNGは、
そのバックに別の絵素材を合わせたりする事で様々な演出が出来ますが、
統合されたJPEGなどの場合はそれが出来ません。
やるとしたら手作業で分割、修正したり、
映像制作ソフトでキーイング(抜き出し)しなければなりません。
この例のように、
人物と背景が分かれていると、「人物だけ消えていく」などの演出も出来るのですが、
人物と背景が一体化しているものを渡されると演出が限られるんですね。
なので、素材によってはJPEGよりバックが透過したPNGで渡して貰えた方が助かります。
その他、よく用いられるのがPSD形式です。
これはPhotoshop形式の略で、
透過(アルファ)情報を持ったレイヤー構造を維持したまま、
AfterEffects(以下Ae)に読み込む事が出来ます。
乱暴な言い方をしてしまうと、
「PNG画像を何枚も重ねて保存しておける形式」とでも言いましょうか。
Aeの場合、
PSDファイルのレイヤー名に半角英数で番号をふっておけば、
読み込んだ際にきちんとそのレイヤー順に表示してくれます。
各レイヤーの形式(乗算、オーバーレイなど)、不透明度などは無視されて読み込まれるので、
「001 足元の影 乗算 30%」など、
情報をレイヤー名に含めておけば混乱しにくいと思います!
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