MV「シューティングスター」のメイキングその3
「シューティングスター」のメイキング記事の3回目です。
今回はマリオさんとカリンさんを囲む様に観客をズラリと並べていくまでを解説したいと思います。
※初心者向けの内容なので画像多めで長文となっています。
■はじめに
まずはメイキング一回目と二回目の内容を参照して頂き、
アニメーションする「観客」を一人作りましょう。
「カメラ」のアイコンをクリックしてカメラを作り、
キーボードのAltキーを押しながらマウスを操作し、
観客一人が真正面に映るようにカメラ位置を調整しておきましょう。
カメラオブジェクトの右にある「十字キーの様なアイコン」を押すと
カメラ位置が仮固定されます。
■プロジェクトの尺を伸ばしてアニメーションを繰り返しさせる
私はMixamoで観客の女の子に
「両手を上げ下げする短いアニメーション」を選んだ為、
この女の子のアニメーションはすぐに止まってしまいます。
なのでアニメーションを繰り返す設定をします。
その為には、まずは一回分のアニメーションの長さしかない
現在のプロジェクトの尺を適当な長さに伸ばします。
私の読み込んだFBXファイルの長さは123F(フレーム)でしたので、
とりあえずフレームの長さを1240Fに伸ばしました。
画面中央、下あたりにフレーム数を打ち込む場所があるので、クリックして1240にします。
更に、その左のバーを右端まで伸ばします。
次に、
「ウィンドウ」→「タイムライン(ドープシート)」をクリックして
「タイムライン」を表示させます。
この青い部分がアニメーションが設定されている部分です。
「mixamorig:Hips」を選択すると、オレンジに色に変わります。
そのまま右クリック→「コピー」。
アニメーションが無い部分の
124Fまで緑のバーを移動させて、
「編集」→「ペースト」。
そしてまた、
248Fまで緑のバーを移動させて、
「編集」→「ペースト」。
以降、この繰り返しで1240Fまでペーストで埋めます。
再生してみると、10回繰返すのが確認出来ます。
0フレームから数えて123フレームまで1セット×10回で1240フレームです。
さて、あとは同じように観客モデルをどんどん増やして行けば良いのですが…
観客を100人以上…なんて増やして行くと動作が重くなって行きます。
スペックによってはプレビューが簡易表示になったり、再生速度が非常に落ちてしまいます。
そういった映像が必要な場合は仕方ないのですが、
今回のような「画面の奥に無数の観客がいてアニメーションしている演出」(MV参照)であれば、
なにも3Dモデル自体を多く配置しておく必要はありません。
並んだ観客は、カメラに対して正面からしか映らないので、真正面だけ見えていればそれでいいのです。
というわけで、今回は「書き割り」を作ります。
■書き割り用の映像を書き出す。
書き割りとは…要するにハリボテです。
透明の板にアニメーションする人物を貼り付けて立たせておこうという事です(笑)
まずは、
ここまで作った観客を映像として書き出します。
画面上部中央あたりの「カチンコに歯車のアイコン」をクリックして
「レンダリング設定」を表示させます。
・出力
書き出し設定は1920×1080にしておきましょう。
フレームレンジは全てのフレームです。
・保存
保存先を任意の場所に指定して、アルファチャンネルにチェックを入れます。
フォーマットは今回は「MP4」を選んでおきます。
「カチンコにフォルダのついたアイコン」を押すと、
レンダリングが開始されます。
レンダリングが完了すると、
「白い人物」と「カラーの人物」の2つの動画が書き出されます。
なぜ2つ書き出されたのかといいますと、アルファチャンネルにチェックを入れたからです。
アルファの動画は真っ白な部分は「不透明」、真っ黒な部分は「透明」という情報なんですね。
■書き割り用の透明な板を作る
次にcinema4Dで「ファイル」→「新規」で新しく画面を開き、平面を作ります。
「オブジェクト」のタブをクリックして「方向」を「-Z」にすると、平面が縦向きになります。
それを上方向に移動させて地面の上に配置します。
新しくマテリアルを作成して適用します。
マテリアルは「反射」のチェックを外し、「カラー」と「アルファ」にチェックを入れておきましょう。
(マテリアルの作り方や設定の詳細はこちらの記事をご覧ください)
これで透明の板が出来ました。
■書き割りにアニメーションを貼り付ける
次に、書き割りにアニメーションを貼り付けます。
マテリアルの「カラー」タブで「テクスチャ」の項目から先ほど書き出した、
「カラーの人物」のMP4を指定して読み込みます。
はい、人物が表示されました。
が、バックが真っ黒です。
これでは書き割りの後ろにあるものが見えなくなってしまいます。
なので、次にアルファの設定に「白い人物」の動画を読み込みます。
すると…バックが透明になりました!
動画が2つ書き出されたのは、この為なのですね。
■書き割りの縦横比を調整する
けどアレ?君なんかスリムになってない?
…と思った方、正解です。
何故スリムになってしまったのでしょうか?
答えはCinema4Dから出力した際、サイズを1920×1080で作ったからです。
1920×1080のサイズ比は16:9です。
読み込んだ平面を見てみると、正方形なので1:1。
比率が違っているんですね。この比率を合わせてあげれば良いわけです。
16÷9は1.7777~なので、1.78:1の比率ならバランスが取れそうです。
ということで、
平面の「座標」のタブで縦横比を1.78:1にすべく、xの値を1.78に変更します。
はい、大体元通りのサイズになりました。
プレビュー画面では人物がボケて見えますが、レンダリングするとちゃんとクッキリしています。
■書き割りがアニメーションしない!?
では再生してみましょう。
すると…あれ?動かない!
と思うかもしれませんが、レンダリングしてみるとちゃんとアニメーションしています。
「プレビューでも動きを確認したい!」と言うことであれば、
マテリアルの「エディタ」のタブ→「アニメーションプレビュー」に
チェックを入れると、プレビューでもアニメーションされるようになります。
■書き割りを並べる
あとは同じ観客ばかりにならないように、
工程を繰り返して観客の種類を作って並べていけば良いわけです。
※書き出す際に観客ごとにカメラ位置が変わらないように注意しましょう。
冒頭でカメラを作りましたが、Ciname4Dのカメラは別のプロジェクトにコピーペーストで持っていくことも可能です。
…というわけで、ひとまず私は2人分の書き割りを用意しました。
二人が真横に並ぶ様にズラしてみます。
一見問題ないようですが…レンダリングしてみると、あれ?一人しか表示されません。
左右に少しズラしてみると…
出てきました。
平面が前後にぴったり重なっていると一方しか表示されないんですね。
なので、例えば女の子をz方向(奥行き)に0.01cmでもズラせば…
はい、二人並んで表示されました。
後はこの要領で6~7人ぐらい観客の種類を増やしましょう。
■Mograph機能で一気に観客を増やす。
PrimeとVisualizeユーザーの場合は書き割りの平面を複製してどんどん並べていきましょう。
Broadcast、Studioユーザーの場合はMographを使うといいと思います。
「Mograph」→「クローナー」をクリックしてクローナーを作り、
書き割りの人物を全てクローナーの子にします。
すると、最初はブレーメンの音楽隊のようにオブジェクトが縦に重なりますが…
クローナーのモードを「線形」から「放射」に変えて、
「平面」を「XZ」にします。
そして「複製数」を増やして、「半径」の値を増やしていくと…
はい、ズラリと並びました!
この画面では書き割りのぺらぺらさがよく分かりますが、
カメラが水平位置の中心から撮影していれば分かりません。
このクローナーを更に複製して、
年輪のように位置を調整したものがこちらです。
さらに、ライトとマリオさん、カリンさんを配置したものがこちらです。
はい、今回はここまでです!
お疲れ様でした。
おさらいです。
①Fuseで観客をモデリングする
②Mixamoでアニメーションを付ける
③Cinema4Dでアルファにチェックを入れてMP4で書き出す
④透明の板を作り動画を貼り付けて書き割りを作る
⑤書き割りを増やして並べる
画面の中に人物は合計152人いますが、
私の環境では再生すると少し動作がゆっくりなぐらいで、快適にプレビュー出来ます。
次回は観客の周りに建物などを配置して行きたいと思います。
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