Mixamoコントロールリグを使ってみる。
今回はCinema4Dの「Mixamo コントロールリグ」機能について書きたいと思います。
Cinema4DのR21から、「Mixamo コントロールリグ」という機能が付きました。
これが発表された時、私は
「RH Character Tools(以下RHCT)…?」と思いました。
RHCTって何?って方は→こちら
結論から言ってしまうと、大体同じようなものと言ってしまって良いでしょう(笑)
今回は、現時点(2020年2月)で気付いた、両者の機能差についても書きたいと思います。
□まずは初心者向けのザックリとしたご説明
・Mixamoを一言で言うと?
「人型モデルを読み込ませると自動でリギングしてくれる上、リストのアニメーションを自由に付けられる無償サービス」です。
・Mixamoコントロールリグを一言で言うと?
「Mixamoでリギングしたモデルをより簡単にポーズ付けしたり、より簡単にアニメーションを改変する為の機能」です。
・RH Character Tools(以下RHCT)を一言で言うと?
「R20の頃に登場した、Mixamoコントロールリグとよく似た有料プラグイン」です。R21でも使えます。
※「Mixamo」についての詳細は過去に複数回ブログで解説しているので、過去記事をご参照ください。
□Mixamoコントロールリグって何?
まずは、MaxonJapan公式サイトの解説をご覧ください→こちら
上記公式サイトでほぼ説明されているのですが
私が試してみて、詰まった箇所もあったので補足も含めて説明したいと思います。
今回も例によって
「はじめてのCinema4D 改訂第2版」に付属している、
コンノヒロム様(@hirotsu162)制作のMixamo用モデルをお借りして説明します。
Mixamoに持っていく設定や自動リギングの工程につきましては
→こちら
で詳しく解説していますので、参考にしてください。
以降はMixamoでアニメーションを付けたデータをダウンロードしたところから説明します。
■Mixamoコントロールリグを使ってみる。
◆1.テイクの設定
Mixamoから書き出したモデルを読み込んだ後、
まずはUI画面右の「テイク」をクリックしましょう。
この時、「mixamo.com」または「メイン」のどちらかだけになっていれば問題ありませんが
2つ並んでいる場合は「mixamo.com」をクリックした状態で
ファイル→「現在のテイクを新規ドキュメントに」
をクリックします。
そうすると、「mixamo.com」のみとなります。
この設定をしておかないと、後で困るので注意して下さい。
※もとより「メイン」しかない場合は、そのまま進めて下さい。
◆2.初期ポーズに戻し、アニメーションを無しにする
現在はアニメーションがついているので、
モデルが何かしらポーズを取っている状態です。
このポーズを基準のTポーズに一時的に戻してあげる必要があります。
「ウェイトタグ」のついているオブジェクトを全て選択します。
「+」のついているものも全て展開して、選択漏れの無いようにしましょう。
それらを選択したら、「バインドした初期ポーズに戻す」をクリックします。
これでTポーズとなりました。
次にウィンドウ→タイムライン(ドープシート)でドープシートウィンドウを開き、
「mixamorig:hips」の右にあるオレンジのフィルムの様なアイコンをクリックします。
オレンジがグレーに切り替わったらOKです。これでアニメーションが一時的に反映されなくなります。
◆3.骨(Mixamo Control Rig)を設置する
UIの「キャラクター」の項目から、
「キャラクター」をクリック。「キャラクター」というオブジェクト追加されます。
「Advanced Biped」となっている部分をクリックし、一覧から「Mixamo Control Rig」を選択します。
「Root」をクリック。続いて「Pelvis」(胴体)をクリック。
更に「Arm」をクリックして腕を付け、「Hand」をクリックして手を付けます。
このままでは、片腕しか付かないのでオブジェクトマネージャの「Pelvis」を選択し、
再度「Arm」をクリック、「Hand」をクリックします。
両腕がついたら、次は足です。
オブジェクトマネージャの「Pelvis」を選択し、「Leg」をクリックすると片足が出来ます。
再度、オブジェクトマネージャの「Pelvis」を選択し、「Leg」をクリックしてもう一本の足を付けます。
(※文章で読むとややこしいですが、操作してみると単純な流れです)
胴体手足が一通り揃ったらOKです。
(※ctrlキーを押しながら「Arm」などをクリックすると、両腕が一度に付けられます)
今作ったこれは骨みたいなものです。読み込んだモデルは肉体です。
骨と肉体を組み合わせる事で、動かせるようにします。
◆4.調整とリターゲット
現状、骨と肉体のサイズや位置があっていないので
「調整」をクリックします。
すると、自動的に合わせてくれます。
※注意
このモデルの場合は問題ありませんが、
このタイミングで膝部分にある「青」と「赤」の球体をほんの少し手前にずらしておくと良いです。
なぜかというと、「腰」「膝」「足」の位置がまっすぐなモデルの場合、
アニメーション時に膝の向きが逆になってしまうケースがあるからです。
※そのまま動かすと足のポイントが複数同時に動いてしまうので、キーボードの7キーを押しながらずらして下さい。
次に「アニメート」をクリックします。
※「バインド」を押さないようにして下さい。
「アニメート」をクリックすると、「コントロール」という項目が出来ます。
「RooT」を選択した状態で「コントロール」をクリックします。
すると、以下の画面になります。
もし、ここで「mixamorig:」の文字がグレーになっていたら、◆1の作業をして下さい。
白くなっていたら大丈夫です。
「Retarget All」をクリックします。
次に、「Weight Transer」の「Weight Tag」の項目に、
「ウェイトタグのついているオブジェクト」を一つ残らずドラッグ&ドロップします。
◆2で選択したオブジェクトと同じものですね。
「ヌルにまとめたものを入れちゃダメなの?」と思うかもしれませんが、それだと上手くいきません。
全て入れたら「Transfer Weight」をクリックします。
◆5.動作チェック
これで「キャラクター」をクリックすると、手足に透明な箱の様なものがくっついているのが見えると思います。
それらを動かしてみるとキャラクターも動くはずです。
手を上下させると、肩も腕も追従するのが分かります。
黄色い円がキャラクターを囲っていますので、
それを選択して座標の「RH」「RP」「RB」の値を弄ってみると、腰や頭が回転するのが分かると思います。
これで無事、適用できました。
(確認用に動かした値は戻しておきましょう)
■Mixamoコントロールリグでポーズや動きを変えてみる。
◆6.アニメーションを反映させる
先程ドープシート画面でアニメーションの反映を外してあったので、これを戻します。
フィルムアイコンをクリックしてグレーからオレンジにも戻します。
そうすると、キャラクターのポーズが変わります。
もしもここでおかしな事になっていたら、最初からやり直してみて下さい。
◆7.ポーズを変えてみる
再生してみると、元通りにアニメーションします。
「キャラクター」をクリックして手足の位置や頭の角度を変えてみましょう。
すると、その変更を反映されたアニメーションになります。
上記画像の「白い骨の位置」が元のmixamoアニメーションの位置です。
さて、再生してみるとアニメーションが進んでも
位置や角度を変えたものが反映されたままなのが分かると思います。
もちろん、このままではどこかで体を突き抜けたりするかもしれません。
そういう場合は、キーフレームを打って位置を修正しましょう。
「コントロール」の項目には、ひねり具合などを調整するための各種パラメーターが用意されています。
ぜひ活用しましょう。
これで「Mixamoコントロールリグの使い方」は終わりです。
ちなみに、今回のモデルでは「ウェイトタグ」が多くなっていますが
Mixamoにもっていくモデルの作り方によって変わるというだけです。
■EJさんの解説動画
下記動画で、Cinema4Dを使う映像クリエイターさんとして有名な
EJさんが同内容をより詳細に解説してくれています。
英語解説ですが、画面を追っていけば困ることはないと思います。
□モーションクリップと併用は可能?
Mixamoコントロールリグを組み込んだモデルはモーションクリップ(標準機能)でも利用出来ます。
・モーションクリップを一言でいうと?
「Mixamoなどで付けたアニメーションを複数つなげたり、組み合わせてオリジナルの動きを作れる機能」です。
詳細はMaxonJapan様の公式サイトの解説をご確認ください。
→こちら
具体例をあげますと、
「走る」アニメーションと「ジャンプ」のアニメーションを用意して組み合わせることで
障害物を飛び越えながら走る…というアニメーションを作れます。
更に、Mixamoコントロールリグを組み込んだモデルの場合は
「ジャンプのタイミングで右腕を高く上げる」といった動作も簡単に組み込めます。
これらの機能をフル活用ことで、
ある程度の人型キャラクターアニメーションは用意できるのではないでしょうか。
※モーションクリップを使う場合、mixamoからダウンロードするのはTposeのFBXでも構いません。
□RHCTとMixamoコントロールリグの違いは?
両者の機能はほぼ同じなのですが、まず大きく違う点としましては、
・ポーズを変更したフレーム以降の別フレームへの影響の与え方が違う
例えば走るアニメーションを変更して、
1フレームから10フレームまで腕を伸ばして走らせたい場合、
RHCTはすでに全フレームにキーが打たれた状態になっているので、
1フレーム目のポーズを変えても2フレーム目で元(Mixamo)のアニメーション位置に戻るという仕様になっています。
つまり、1フレーム目から10フレーム目までの位置を変えたい場合、2~9フレームのキーを削除したり調整しなければなりません。
対して、Mixamoコントロ-ルリグは1フレーム目のポーズを変えると、どこかで戻さない限りずっとその影響が残るので、
10フレーム目まで腕は伸びたままになります。
その為、どこかで腕が体を突き抜けたりした場合にはキーフレームで微調整が必要になります。
好みの問題かもしれませんが、個人的にはこの部分についてはMixamoコントロールリグの方が使いやすい気がします。
その他は
・RHCTはCinema4D R17~21で利用できる!
・RHCTは各関節の稼働箇所を簡単に指定する「ビジュアルセレクタ」がある為、調整が少し楽!
・RHCTはコントロールのミラーリング、フリップ(反転)機能、コピペ機能などがあり、ポーズ付けが楽!
・RHCTはベイク機能がある!
…といったところでしょうか。
■RHCTのベイク機能について
RHCTのベイク機能につきましては先日、過去記事にコメントを頂きました。
「Mixamoコントロールリグを組んだモデルをFBXで書き出すと、
アニメーションが反映されていないファイルになってしまいます。RHCTでは上手く行きますか?」
というご質問でした。
早速、RHCTを使ってMixamoアニメーションをベイクしたキャラクターをFBX書き出しし、
それを再度C4Dに読み込んでみました。
マテリアルは全て設定し直す必要がありましたが、問題なくアニメーションは動作しました。
※FBXを書き出す際は2016ではなく、2014を使った方が良さそうです。
Mixamoのアニメーションをモーションクリップで組み合わせたり改変し、
別のソフトウェアに持っていきたい…!という場合には、RHCTが活躍してくれそうです。
※私が知らないだけで、Mixamoコントロールリグでもベイクはできるのかもしれません。
詳しい方がおりましたら教えて貰えますと助かります!
■今後はどちらをメインに使う?
ケースバイケースですね。
RHCTでベイクしてFBXで書き出しておけば、
それをモーションクリップで扱う為のオリジナルアニメーションとしても保管しておけそうなので、
同キャラや体形が同じモデルで使いまわすことも出来そうです(未確認)。
今のところはRHCTで慣れているので、キャラクターアニメーション案件はすべてRHCTで行っています。
しかし、今後しばらくはMixamoコントロールリグを使い込んでみようと思っています。
思いの他、長い記事となってしまいました。
最後まで読んでくれた方、ありがとうございます。お疲れ様でした!
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