Cinema4Dでアニメ風のMVを作る1

Cinema4Dを用いてアニメ風のMV(ミュージックビデオ)を制作させて頂きました。
タイトルは「翳りゆく恋なのに」です。

ご依頼主はSUMIRE1222様@nekogeterです。
Youtubeチャンネルでオリジナルの楽曲を投稿されており、映像のコンテもご自身で作っています。
→こちら

私はこれまで、実験的に3Dキャラクターのアニメ風映像を作ってきましたが
約4分半の映像できちんと形にしたのは今回がはじめてでした。
表現として至らない点も多々ありますが、少しずつレベルアップしていけたらと思います。

…というわけで、
今回からしばらく、上記MV動画の忘備録的な記事を書いてみます。
「Cinema4Dでアニメ風の映像を作りたい!」
という人にとっても少しは役に立つかも?しれません。
(※R21を使っています。他バージョンではUIや結果が変わる可能性があります)

Sketch and Toonで線画を作る

今回は「Sketch and Toon」についてです。

Sketch and ToonとはCinema4Dの機能の一つで、
イラストやアニメで言う「線画」を表示させる事が出来ます。

他にも色々出来るのですが、詳しい使い方については
過去の記事やCinema4Dのヘルプを参照下さい。

過去の記事は→こちら

Sketch and Toonの線画はパカつく場合がある

まず、Sketch and Toonを用いて
適当なオブジェクトの線画をアニメーションで書き出してみます。

結果がこちら。

一見、良さそうですがよく見ると線がパカパカと点滅しているのが分かります。
これをなんとかしたい!というのが今回の記事です。

実はこの改善方法を実践できたのは冒頭のMV完成後だったので、
本MVには反映出来ておりません。

SUMIRE1222さんには申し訳ない…!
(次回作以降ではなんとかしたいです)

AeプラグインのNeatVideoを使う

今回は「NeatVideo」でこのパカツキを目立たなくしたいと思います。

NeatVideoは以前も記事にしましたが、AfterEffectsのプラグインです。
ノイズやフリッカーなどを目立たなくしてくれるエフェクトですね。
(もしも、Cinema4D内でパカツキを抑える設定などがありましたら教えて貰えると嬉しいです)

早速、Cinema4DからSketch and Toonで書き出した映像にAeでエフェクトをかけてみました。
以下が、NeatVideoを使った比較映像です。

①~⑧まで適用具合を変えたものを比較し、
最後にBefore→Afterでキャラクターアニメーションに反映させています。

いかがでしょうか?
※スマホなど、小さな画面で見ていても差が分かりにくいので、ある程度大きな画面で見て貰えたらと思います。

では、この動画について少し解説します。

NeatVideoの使い方と解説1…「Prepare」

Cinema4Dから書き出したパカつきのある線画映像①
Aeに読み込みます。

微妙に線画に色が残っている場合は、
エフェクト→カラー補正→「白黒」で線画を黒一色にします。

次にNeatVideoを適用します。
※エフェクト名は「Reduce Noise v5」となっていますが、名称が違うだけでNeatVideoのことです。

「Prepare」をクリックします。
ウィンドウが開いたら、NeatVideoに「どこをどう改善したいのか?」を伝えます。

今回で言うと、パカツキの発生している箇所とタイミングを範囲指定して教えてあげる感じです。
※効果は指定のタイミングや範囲内のみに適用されるのではなく、尺全体と指定範囲外にも適用されます。

※範囲の指定が上手く動かない、動作が異常に重い!という場合、
Aeの本体以外に「プラグインやスクリプトの独自ウィンドウ」が
複数画面に表示されている状態ではないかと思います。
一旦NeatVideoは終了し、それらのウィンドウを閉じてからやり直してみてください。

この「Profile」とは、簡単に言うと
NeatVideoが「アナタの求めてるのはこういうことでは?」
自動的に作った改善結果です。
なので、適用させる動画やそれに含まれるノイズなどで結果が変わります。

さて、
UI右下の「Apply」をクリックし、再生して確認してみると、
パカつきが目立ちにくくなった線画動画が出来ました。

しかし、アニメーション中に
「残像のようなもの(後述)」が目につきました。

NeatVideoの使い方と解説2…「Adjust」

「残像のようなもの(後述)」を多少改善すべく、
今度は「Adjust」をクリックして手動で調整していきます。

UI右上に
「Temporal」「Spatial」「General」と3つのタブに分かれた設定項目があります。
前述の通り、読み込ませる動画や含まれるノイズ、目的によって設定すべき項目は変わるので、
各パラメーターについては任意で弄ってみてください。

これで、若干「残像の様なもの(後述)」が目立たなく出来ました。
そうして出来たのが先程の「比較動画内の②」になります。

NeatVideoの使い方と解説3…「組み合わせ」

「パカツキの抑えられた線画映像」…②が出来たので、
今度はCinema4Dから「カラーのみの映像」を書き出します。
それをAeに読み込み、②を「乗算」で重ねたものが比較動画の⑦⑧です。
これが一番手間をかけた、理想に近いものとなります。

では、残りの③④⑤⑥はなんなのかと言うと、
Cinema4Dから「線画とカラーを統合して書き出した映像」
直接NeatVideoを適用してProfileを作った結果が③④です。
正直、③④は全体的にボケ気味で失敗といえるでしょう。

同じくCinema4Dから
「線画とカラーを統合して書き出した映像」にNeatVideoを適用し、
「②で作ったProfile」「Adjustの値」を反映させたものが⑤⑥です。

つまり、
③④と⑤⑥は同じ素材に対して、違うProfileが適用されているのです。

「線画のみの動画から作ったProfile」の方が、
「線画とカラーが統合された動画から作ったProfile」よりも
パカつきが目立ちにくい、良い結果を生んでいるわけですね。

ちなみに作ったProfileは保存しておくことで
次回以降に呼び出して使う事も出来ます。

手間と問題点

さて、⑦⑧が理想ではあるのですが
その為にはカット毎に「線画のみの映像」「カラーのみの映像」をレンダリングしなければなりません。
物理設定を加えている場合などには注意が必要かもしれませんね。

書き出した映像の管理も煩雑になるので、
状況次第では⑤⑥の様に割り切ってしまうのもありかなと思います。

また、アニメーションで見ていると違和感はあまりありませんが
上手くいった場合でも、再生を止めて静止画にしてみると
NeatVideoの効果で一部の線画がブレていたり、重なっているのが分かると思います。

これが「残像の様なもの」であり、完全になくすことは難しいです。

何故なら、
パカツキは線の「表示」と「非表示」がパッと突然切り替わることで発生しています。
NeatVideoは「表示」と「非表示」の間にグラデーションの様な処理を施すことで
目立ちにくくしてくれており、その結果この残像が発生しているのだと思います。

「NeatVideo」が使えると教えてくれたツイート

NeatVideoを使った方法は
株式会社カーキ横原大和様@Yokohara_hのツイートを拝見して試したものです。

このツイートを拝見して、
「Neatvideoは持ってるものの、具体的にどう使えは良いのだろう?」
と模索したのが始まりでした。
ありがとうございました!

Sketch&Toon以外で線画を出す方法はないの?

ちなみに、
Cinema4Dで線画を書き出す方法はSketch&Toon以外にもいくつか方法があります。

Frenelを使う方法

マテリアルで線画を出す方法です。
簡単ですが、細かな部分まで綺麗に出すことは難しいです。

「SSAO」と「OpenGLレンダラー」を使う方法

MaxonJapanの宮田様@cr_marketがツイッターで紹介して下さった方法です。
リアルタイムで線画を書き出すことが可能なので、圧倒的に速いです。

ただ、線の調整や多様性についてはSketch and Toonに軍配が上がります。
細かな漫画の背景など、Sketch and Toonではレンダリングに時間がかかるものを、
素早く書き出せるという点で私は重宝しています。

以下は過去にこの手法で作ったテスト動画です。
Sketch&Toonで同じことをしようとすると1フレーム10分はかかるところ、
この方法だと1フレーム1秒以下でした(笑)

※興味を持った方は、
ツイッターで「SSAO cinema4d」と検索すると宮田様のツイートが見つかると思います。

「インスタンス」と「変位デフォーマ」を使う方法

「はじめてのCinema4D改訂二版」をはじめ、C4Dユーザーにはお馴染みの
コンノヒロム様@hirotsu162がツイッターで紹介して下さった方法。
Sketch&Toonより軽く、エディタでもレンダリングでも線が出るのは嬉しいですね。

詳しく知りたい方はツイッターで「インスタンス 変位デフォーマ」で検索すると、
コンノヒロム様の解説するツイートが見つかると思います。

R23から利用可能となった「シーンノード」と「背面法」を用いた方法。

MaxonJapanの宮田様がnoteで詳細な記事を書いてくれています。
※R23以降でないと使えないので、ご注意ください。


→こちら

ArnoldRenderを使う方法

ArnoldRenderは外部レンダラーの一つで、
パカツキの無い非常に綺麗な線画をレンダリングしてくれます。
加えて、アニメやイラストタッチの絵を作るのも得意です。

ただし、年額約6万円かかります。
RedShiftやOctaneなどメインレンダラーを他に契約している人からすると、
なかなかの出費に…なりそうです(汗)

→こちら

まとめ

Cinem4Dで線画を出すにはいろんな方法がありますが、
Sketch and Toon
「この線は出したくない」「この線は細くしたい」「この線は色を変えたい」「この線は入り抜きを付けたい」
といった細かな調整が可能な、Cinema4Dで最も使い勝手の良い機能の一つです。
NeatVideoと組み合わせることで、よりその強みを活かせるかもしれません。

「翳りゆく恋なのに」制作の忘備録はあと何回かやりたいと思うので、
よろしければお付き合い下さいませ。

どなたかの参考になれば幸いです。

映像、イラスト、漫画、コンテなどの制作、画像加工を承っております!→こちら

Cinema4Dでアニメ風のMVを作る1” に対して 3 件のコメントがあります

  1. seol より:

    こんにちは. 私は韓国でインターネット検索中あなたのブログを見ました. 翻訳機を使うのを理解してください 私が気になるのはキャラクターの髪の毛シミュレーションです 通った髪の胴体に衝突せず、一緒についていくためにどんな働きをしたのかわかりますか?

    Hello. I saw your blog while searching the Internet in Korea. Please understand that I use a translator. What I’m curious about is a simulation of the character’s hair. May I know what you did to follow along without colliding with the body of the toon hair?

    1. yakumoreo より:

      Thank you for your question.
      Sorry.

      As for the hair.
      The method I used at the time I created this piece confirms the problem.
      So I have no plans to explain it.
      (Even in my videos, the hair penetrates the body and face.)

      I’m currently using Konno Hiromu’s site as a reference for trial and error.
      https://hk3d.jp/2020/04/06/c4d_character_demo/
      https://hk3d.jp/2019/01/13/joint_dynamics/
      Please check this site.

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