海外素材サイトのEnvato Marketってどうなの?
■Envato Marketとは?
「Envato Market」とは、様々な素材やテンプレートを販売している海外サイトのことです。
その中の「Video Hive」というカテゴリでは、
After EffectsやCinema4D用の映像素材も豊富に扱っていますし、
素材を使う為のスクリプトなんかもあります。
先日、私もいくつか購入してみたのですが、
そのクオリティは非常に高く、
チュートリアルも丁寧で扱いやすい商品ばかりでした。
その便利さ、質、価格からオススメしているブログも多いのですが、気をつけなければならない事があります。
■厳しいライセンス形式
気をつけなければならない事…
それはEnvato Marketのライセンスです。
最初に言ってしまうと、
「Video Hive」の多くの素材やテンプレートは
1回使う度に買い直す(買い足す)必要があります!
ええ!?まさか…!と思うかもしれませんが、そうなっています。
https://videohive.net/licenses/standard?license=extended
この部分ですね。
Note to freelancers and creative agencies:
You may charge your client for your services to create an end product, even under the Regular License.
But you can’t use one of our Standard Licenses on multiple clients or jobs.
翻訳すると、
フリーランスやクリエイティブエージェンシーへの注意:
通常のライセンスであっても、お客様のサービスに対して最終的な製品を作成するためにクライアントに請求することができます。
しかし、スタンダードライセンスの1つを複数のクライアントまたはジョブで使用することはできません。
自動翻訳なのでややこしい日本語ですが、
実際に複数のバイヤーさんとやり取りして教えて頂いたので、
「1回使うとそこでライセンスは終了」で間違いないと思います。
(そうではないライセンスアイテムもあります※後述します)
■普通はどうなの?
AfterEffectsのスクリプトやプラグイン、素材などは
国内だと「フラッシュバックジャパン」さん、
海外だと「aescripts+plugins」さんなどで購入できますが、
まあ一度買えば永続的に使えるものが一般的です。
ですが、Envato Marketの場合は違うのです。
■Envato Marketで購入したアイテムを使った場合…
例えば、
鈴木さんに「鈴木物語」という映像制作を依頼されて、
Envato Market(Video Hive)で購入したアイテム(素材やテンプレート)を使って納品したとします。
その後、
今度は佐藤さんに「佐藤物語」という映像制作を依頼されて、
同じEnvato Market(Video Hive)で購入したアイテムを使って納品したとします。
その時点で、ライセンス違反となってしまいます。
Envato Market(Video Hive)のアイテムの場合は、
鈴木さんに「鈴木物語」という映像作品を納品したタイミングで、
ライセンス(使用権)は鈴木さんに譲渡する(買い取って貰う)ような形になるのです。
※表現として権利が譲渡されるだけで、
実際に素材やテンプレート、プラグインなどを渡す必要はありません。
それを鈴木さんが二次使用することも、もちろん出来ません。
そして、もう一度使いたい時は再購入しなければなりません。
なので、平たく言うと非常にコストパフォーマンスが厳しいのです(汗)
私は先日、セールしていたので軽い気持ちで購入したのですが
後々ライセンスについて熟読して、
「これは気軽には使えないなあ…」と感じました。
■良い使い方はないの?(2019年12月編集)
「金に糸目はつけないよ!豪華な映像を作っておくれ!」
…なんていうクライアントさんの案件であれば使うのもありだと思います。
また、締切まで時間がない中でなんとかしたい!と言う場合などには助けてもらえるでしょう。
とはいえ、
素材は使う機会がピンポイントですぐに訪れるものでもありませんし、
データもモノによっては数GBあるので
「一度しか使えないモノにPCの容量が占拠されてる!」という点ではツライかもしれませんね。
(※誤解を与えてしまいそうな表現があったので、一部文章を編集しました)
■動画サイトに投稿する非営利目的でもダメなの?
ちなみに、Youtubeなどに投稿して色んな人に無償で見てもらおう!
というライセンスでも上記の設定が適用されます。
「映像作品として販売しよう!」とか
「有料会員だけが観れる形で配信しよう!」といった、
ビジネスに使いたい場合にはもっと高価なライセンスを購入する必要があります。
■繰り返し使えるタイプの素材もある
一応、補足しておきますと、
「Video Hive」カテゴリの中には条件次第で繰り返し使えるタイプの素材もあります。
ただ、ライセンスの設定がややこしく、
誤解を招いても怖いのでここでの説明は控えたいと思います。
興味を持った方はご自身で調べてみて下さい。
※「Regular License」や「Single Use」と表記されているものは基本的に1回の使用のみ認められている商品です。
(シングルユーザーライセンスの事じゃないの?と思うかもしれませんが、違います)
また、ある意味で「ココナラ」とかと似たようなものですが、
バイヤーが自身の個人サイトで同じものを販売している場合があります。
その場合、「Envato Market」のライセンス契約に縛られていないので、
同じ商品が「繰り返し使える形」で販売されいているケースもあります。
■おわりに
…ということで、私にとっては
「また勿体ないお買い物をしちゃったなあ…」というお話でした。
ライセンスについて分かった上で利用するなら、頼もしい素材販売サイトなのですけれどね。
この記事を読まれた方は、私と同じ失敗をしないように気をつけて下さいませ!
「なんて可愛そうなんだ、お仕事をあげよう」…なんて方がもしもおられましたら、
こちらからご依頼下さい!(笑)
→動画制作のご要望はこちらから!
初めまして!
お聞きしたいのですが、
鈴木物語の作成、納品後
別プロジェクトでテンプレートや素材自体が開けなくなってしまうのですか?
はじめまして。
コメントありがとうございます。
納品後にテンプレートや素材自体が開けなくなるといった状況には、今のところ遭遇した事はありません。
ただし、「忘れて再度使ってしまうと危ない」と思ったら削除しておく方が良いかもしれませんね。
記事にも書いておりますが、
「Envato Market」で販売されている商品は、
バイヤーが同じものを個人サイトでも販売している場合があります。
個人サイトでは「Envato Market」のライセンス契約とは違って
「繰り返し使える形」で販売されいている商品もあるので、
なにか気になった商品があれば、個人サイトでも販売されていないか確認してみると良いと思います。
とても参考になりました。
一つ質問させて下さい。
Envateのフリー素材をDLし、個人又は単一の会社がYoutubeなどで、課金しない作品を複数で利用する場合はどうなるのですか?
そもそもフリー素材なので、無償で使えると思うのですが?
また、商業利用で複数作品、複数者の依頼に利用した場合も、そもそもがフリー素材の場合は、無償でよいのでしょうか?
上記について解釈できずに困っております。
Nojikat様
はじめまして。
コメントありがとうございます。
まず、最初に申し上げますと、
素材の権利や扱いにつきましては出品者や素材ごとに設定が違う為、具体的に答える事は出来ません。
一般的なお話ですが、
フリー素材であっても全て何にでも自由に使えるわけではなく、
「クレジット表記が必要」な素材もあれば
「印刷媒体での利用は自由」なものの、「映像媒体での利用は契約が必要」といったケースもあります。
また、
購入したツールを使って自分で制作したデータでも、
Youtubeなどの動画サイトに投稿する事で
「広告費を得ることは商用利用に含まれるためNG」
とされているものもあります。
具体例をあげますと、
合成音声を作る「ボイスロイド」というソフトを用いて制作した音声は、
広告費を得る設定ではYoutubeに投稿する事が許可されていません。
規約や設定は時間とともに変わっている可能性もありますので、
確実なのは素材出品者本人に聞くことだと思います。
私の経験上、
Envato Marketの素材出品者は質問にきちんと答えてくれる方が多いです。
具体的な回答が出来ずに申し訳ございませんが、参考になりましたら幸いです。
Studioヤクモレオ
Studioヤクモレオ様
丁寧な返信をいただきありがとうございます。
おっしゃることごもっともです。
Envato Market側に問い合わせてみます。
ただ、アフターエフェクツのフリー動画素材が、有料前提のレギュラーライセンスに準拠するという同社の説明が説明文を読むほどに論理的に理解できないです。
DLファイルには著作権やクレジットの条件は記載されていたので、その点は理解できるのですが、肝心の利用条件が有料コンテンツのライセンスと同じというのが、やはり難解です。
結局は、クォリティがあまりに高いので、できれば無料で使いまわしたいという貧乏根性故の疑問なのかもしれません。
重ねて御礼申し上げます。