森永乳業様の冊子用漫画を描かせて頂きました。

森永乳業様のサプリメントの販促冊子用の漫画を描かせて頂きました!

…と、ただの宣伝になってしまってもアレなので、
この機会に昨今のビジネス漫画案件制作で、
思った事を書いてみようと思います。

※ご注意…以下の記事は上記漫画案件やクライアント様と直接関係のあるものではございません!

写植」も漫画家側のお仕事になった!?

まず「写植」って何?
という方もいらっしゃると思うので説明しますと、
「フキダシ内の文字」の事です。

アナログ原稿時代の漫画のセリフは、
担当編集さんが受け取った原稿に
「文字を写した紙をフキダシの形に切り、貼り付ける」という作業をしていました。
なので、状態が悪いと貼り付けた写植の境界部分が印刷に出てしまう…という事もありました。

今はアナログ原稿も編集部がスキャンしてデータ化してからの印刷となるので、
写植はadobeのInDesignやPhotoshopを使う事が多いと思います。

で、本題に戻るとデジタル作画が増えた今、
この写植の作業を漫画家側の仕事の範囲になって来た?…という事です。
大手商業漫画ではそんな事はないのですが、ビジネス漫画などでは多くなっていると感じます。

私の場合は制作ソフトの機能でセリフを打ち込んでいるのですが、やっぱりいくつか問題も出てきます。

問題その1

クライアント様都合でセリフの変更を依頼された際に、漫画家側が直さなくてはならない。

「それぐらいやろう!」…と思うかもしれませんが、(実際やりますけど!笑)
大手企業案件となりますと、間に複数の会社や人間が入ってチェックするので、
「漫画原稿としては完成してるのに、セリフの変更が頻繁にあっていつまでも納品にならない」
といった状況が生まれます。

いわゆる「炎上」などを避けるために、
クライアントさんは誤解を招かず、間違いを含まないセリフにしようと努めます。
それは当然大事なのですが、セリフの修正が1か月程繰り返しあり、セリフ修正分の料金は出ない…となると、
複数の案件を並行して進めている制作者にとっては地味に負担になります。

「○月○日までに修正版を送って下さい!」と言われても動けない場合もありますしね。

問題その2

フォントの選択、サイズ、権利に関して。

セリフの内容だけではなく、
・「どのフォントを使うか」
・「文字数とサイズの兼ね合いはどうするか」
・「フォントの利用規約に問題はないか」
といった点も考えなければなりません。

「そのセリフはもっと可愛いフォントにして下さい」
「セリフが変わったので、サイズや改行位置を調整して下さい」
といった修正依頼を頂く事もありますし、
フォントによっては使いたい漢字が含まれてなかったりするので他のフォントで代用するケースもあり、
状況次第でクライアント様に確認してもらう事もあります。

また、商用利用OKとされてるフォントでも
「映像での使用はNG」というフォントもあるので、
制作した漫画を後々、動画で使いたい…などの場合は気を付けなければなりません。
「フリーフォント」とされているものにもそれぞれ利用規約はありますしね。

そして、フリーフォントが
いつまでも「フリー」という保証もないので、自分自身で確認しなければ危ないという面もあります。

フリーから有償になった「国鉄方向幕書体」フォント

「フリーとして公開されていたフォントが有償になることなんてあるの!?」
と、思う方もいるかもしれませんが、
例えば「国鉄方向幕書体」2018年3月15日から利用規約が変わり、
業務用途・組込用途・書籍収録用途の場合は有償となりました。

詳しくはこちら→

フリーフォントやフリー素材は、制作者様のご好意によって、
「無料で使わせて貰っているもの」なので、
制作者様または配信サイトの都合で
「利用規約を変更する」となれば、多くの場合それに従う他はありません。気をつけましょう!

解決方法

解決方法…なんて言うと大袈裟ですが、
写植作業を漫画制作者側に求める場合は、
「クライアント様と漫画制作者側で打ち合わせする」のが結局確実かなあ…と思います。

フォントの利用規約や権利についての認識があまいと、
万が一問題があった際には追加でお金を払う必要があったり、
印刷物の場合は回収なんて可能性も無いわけではないでしょう。

広告代理店や知識のあるプロに依頼した場合はともかく、
ココナラなどで安価に依頼した場合にまでその辺りの責任を漫画制作者側に求める…というのも
なかなか難しいと思います。

ClipStudioPaintへの期待

さて、最後は直接関係のない話題ですが、
私の場合、漫画データの納品は「Photoshop形式」を求められる事が多いです。

主に使うソフトは「ClipStudioPaint」なので、
Photoshop形式で書き出したものを納品するのですが、
そうすると書き出しの過程でテキストはラスタライズされてしまうのですね。

なので、クライアント様側はテキストを編集出来ないのです。
その為、一度テキスト無しで書き出してテキストはPhotoshopで編集して納品…というのが
望ましいのですがどうしても二度手間になります。

将来的には
テキストを編集可能な状態でPhotoshop形式に変更してくれるように
ClipStudioPaintがアップグレードしてくれたら嬉しいですね!

 

 

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